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中小企業におけるサステナビリティ経営の留意点 人的資本経営編 第11回

1.前回の振り返り

前回(第10回)は、人事制度の運用におけるポイントを(1)経営陣の社員に対する人間観 (2)管理職の職場マネジメント (3)人事部門の役割 の切り口で解説しました。今回は、目標管理制度におけるモニタリングのポイントについて解説します。

2.目標管理制度におけるモニタリングのポイント

経営管理手法の一つである目標管理制度を導入している企業は多いと思います。1年あるいは半期の目標を期首に設定し、半期あるいは四半期ごとに達成度合いを評価する仕組みが典型的な運用と言えます。企業の運用実態としては、期首に上席者と設定した後はデータ保存され半期終了時点の評価時期まで活用されることなく評価時期になって

本人も上席者もファイルを開くような運用が少なくないと実感しています。形骸化そのものと言って過言ではない状況と思います。目標管理においてはモニタリング(プロセス管理)が極めて重要となります。

(1)行動計画の策定

目標設定と同時に、次のポイントを押えることが肝要となります。

①目標達成ストーリーを鮮明に描き

②具体的な行動計画を策定する(目標達成のためのプロセス)

目標達成するための通過ポイントはどこで、そこを確実に通過するために必要なヒト・モノ・カネは何か、通過するために事前に解決すべき課題等は何かといったストーリーを鮮明にします。そして、そのストーリーに則った具体的行動計画を策定することが必要です。各企業における目標管理の運用においては、この達成ストーリーの鮮明化と行動計画の策定が脆弱と感じられます。

(2)行動計画の実践

 達成ストーリーに則った行動計画(目標達成のプロセス)の徹底的な実践が大変重要となります。達成ストーリーや行動計画は策定することが目的ではありません。徹底的に実行して目標を達成することが目的になります。策定しデータ保存するのではなく、行動計画を毎日実行し・修正することが肝要です。プロセスを管理し目標達成の勝ちパターンを構築することにより目標達成の再現性を高め続けることが求められます。

本人は、このPDCAサイクルの実践状況をセルフモニタリングすることにより目標達成の勝ちパターン(再現性)を確保します。

(3)進捗支援面談

 月次の行動計画の中に、上席者との進捗支援面談を組み込み着実に実施します。目標を立てっぱなしにすることなく、具体的な行動計画を策定し、その実践度を確認する場を設けます。行動計画はセルフコントロールで実行することが大前提でありますが、セルフコントロールでやり切れる方は少数派です。上席者のチェック・支援は行動計画の実行にとって重要な機能といえます。

進捗支援面談の場は、「ダメ出しの場」ではなく「知恵出しの場」です。どうしたら目標達成できるかを本人と上席者とで知恵を出し合うことが求めれます。よって本人は、進捗支援面談に臨む際にまず自ら振り返りを行い、どこがうまく行き・うまく行かなかった要因は何かを自己分析することが求められます。また、上席者は、進捗支援面談に臨む前の段階で部下の日々の仕事ぶりをよくみる(見る・観る・視る・診る・看る)ことが求められます。部下の日々の仕事ぶりをよく見ていなければ部下の目標達成を支援することはできません。

次回は、評価結果の処遇と育成への反映について解説します。

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