政府は5月16日「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」(以下、年金制度改革法案)を閣議決定し、通常国会に提出しました。
現行において、短時間労働者のうち、下記①~⑤の加入要件のすべてを満たす者が厚生年金・健康保険の加入対象となります。同法案で見直しが行われるのは①賃金要件と②企業規模要件の2点になります。
①賃金要件 ;所定内賃金が月88,000円(年収106万円)以上
②企業規模要件:従業員数(被保険者数)が51以上の事業所に勤務
③労働時間要件:所定労働時間が週20時間以上
④勤務期間要件:継続して2カ月を超えて使用される見込み
⑤非学生要件 :学生でないこと
106万円の壁撤廃により、新たに社会保険の被保険者となる場合、負担増が必ずしもマイナスになるわけではありません。現時点の手取額は減少することになりますが、将来の年金額は基礎年金(国民年金)に厚生年金がプラスされることとなり、増額されることになります。また、新たに健康保険の傷病手当金や出産手当金の対象にもなりますので、社会保険の被保険者とならないこと(社会保険の負担が生じないこと)が必ずしも良い選択でないと言えます。
