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中小企業オーナーのためのアセットマネジメント(第2回)

前回(第1回)は、タワーマンションに係わる税制改正について解説致しました。今回は、オフィスの区分所有への投資について解説致します。

〇オフィスの区分所有建物への投資について

【1】区分所有建物について

(1)区分所有建物の要件

区分所有建物とは、建物の中で複数に区分され、各戸が独立して住居・店舗・事務所・倉庫等の用途で構成されている建物のことです。 区分所有建物となるためには、次の要件を満たす必要があります。

①各戸が構造上、独立性があること。これは壁等で完全に遮断されていることであり、障子、ふすま、簡易な間仕切りによる遮断は、認められておりません。

②各戸が利用上、独立性があること。これは、各戸が他の部分から完全に独立し、用途を果たせることをさします。

例えば、分譲マンションのように、各戸が一つの住居として使用可能であることです。

(2)区分所有権

区分所有建物は、区分所有法(正式名称「建物の区分所有に関する法律」)が適用され、区分所有権が成立します。                                                                                                

区分所有建物において、区分所有権の目的たる建物の部分が専有部分となります。

区分所有者が共同で利用する部分(エントランス、廊下、階段等)は、共用部分と呼ばれ、また、専有部分と認められるが規約による共用部分(管理事務所、集会室等)となるものがあり、区分所有者が共有します。            

建物の敷地は、区分所有者の共有となり、区分所有者が取得している敷地の共有持分は、敷地利用権と呼ばれます。 このように、区分所有者は、専有部分の所有権、共用部分の共有持分、敷地の共有持分という3種類の権利を持つこととなります。

(3)管理組合

区分所有法において、区分所有者全員が構成員となる団体を結成し、建物、敷地、付属設備の管理を行うと定められています。

この定めに従い、区分所有者が自ら建物を管理するため、区分所有者による組織であります管理組合が結成されます。

管理組合の活動は、区分所有法に基づき、建物の維持や管理を目的としており、建物利用のルールの基本となる考え方が区分所有法に定めらています。                                        

具体的なルールについては、管理組合により作成される管理規約や使用細則に定められおり、区分所有者は、このルールを守り建物を利用することになります。

以上が区分所有建物の概略となります。

【2】オフィスの区分所有建物及びその投資について

(1)オフィスの区分所有建物

区分所有の収益物件は、一般的にマンションとなりますが、大都市の中心部にあるオフィスビルを区分所有(フロア毎、部屋毎の分譲)した収益物件があります。

(2)オフィスの区分所有建物の投資

このオフィスの区分所有建物への投資におけるメリットとデメリットを説明します。

<メリット>

①都心において立地の良い1棟オフィスビルを購入するには、莫大な資金が必要ですが、オフィスの区分所有物件は、1棟オフィスビルの購入に比べ少ない資金で好立地の魅力的な物件に投資することが可能です。                                        

②都心には高品質の1棟オフィスビルが多いため、安定的な収入が見込めますし、また、人口減少による影響は受けにくい。

➂都心にあるオフィスの区分所有物件は、知名度の高いビルにおいて取引されることがあり、競合物件が少なく、売却しやすい。

④オフィスの区分所有物件は、区分所有法により管理組合が組成されているため、オフィスビルの管理体制が確立されている。

<デメリット>

①マンション等の他の区分所有物件と比較してオフィスの区分所有物件の取引は、歴史的に長くなく、市場に出回っている物件数が少ない。

②立地のエリア選択を間違えた場合に、リスクが長期化する恐れがある。

➂テナント物件を探している企業において、ワンフロア以上の借り上げを希望する企業が入居しづらい。

④オフィスの区分所有物件にテナントが入居している時は、稼働率100%ですが、退去するとゼロとなるリスクがある。

⑤1棟ビルにおいて複数のオーナーが存在するため、長期的に所有する場合において、建て替えなど大きな決断を要する時の意思決定が容易でないことがある。

これらのメリット、デメリットを踏まえて、オフィスの区分所有物件を購入するにあたり、次の3つのポイントがあります。

<ポイント>

①ビルの入居者(企業)は事業運営のためのオフィスを借りるので、人が集まり、知名度の高いエリアが適しています。例えば、東京都の場合、千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区が該当します。

②設備は、A.オートロック、警備員の常駐等セキュリティ B.非常用電源 C.通信環境の良さ(OAフロア) D.大容量電源が重要となります。

➂築年数・規模は、オフィスビルは鉄筋コンクリート構造で耐久性が高く、築年数が古くても十分機能するので、ビル自体の築年数はあまり重要ではありません。規模は、基本的に中規模のビル(階数は8~10階建)の区分所有物件が有望な対象となります。

今回は、不動産投資の選択肢の一つとしてオフィスの区分所有物件への投資について解説致しました。

                                                                                                                                              

オフィスの区分所有物件の購入を今後検討される方は、弊社にご相談いただければご対応をさせていただきます。 

 

以上

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